迷走女に激辛プロポーズ
「それにしてもスッキリした顔しちゃって、ンフッ、白鳥佑都としちゃった、とか?」

ブッと盛大に水を吹き出す。

清香に対する緊張は、牛子パジャマチョイスが実は清香で、意外にファニーでラブリーな物好きと知り、彼女への見解を新たにした途端、無くなった(?)ように感じるが、油断は禁物だ。

「あん、もう、バッチィイ。清香様、お昼間からストレート過ぎます。下品です」

遥香はティッシュでテーブルを拭き、ついでに私の口元も拭ってくれる。

この娘、いろいろ問題有りだが、言葉使いも丁寧だし、優しいし、親切だし、根は良い子だと思う。なのになぜ婿がこない? やはり、桁違いに問題有りだからだろうか、と出来の悪い孫を心配する祖母のように行く末を案じていると……。

「――で、営まれたのですか?」と清香と同類の質問をする。
「何もしていません!」と答えつつ、だから婿がこないんだ! と心の中で叫ぶ。

「なぁんだ、つまんないの」
「ほんと」

二人は顔を見合わせ、「ねぇ」と頷き合う。
この二人、どこをとっても似たところはないが、本当によく気が合う。

「ただ……自分の中で、絡まりまくっていた糸が少し解れた感はあります。それによく寝たし……」
「エッ、ちょっと待って下さい!」

遥香は清香と見合わせていた顔を、ガバッと私に近付ける。

「何もってキスもまだ! 白鳥課長ってば何やってるんですか! 仕事は早いのに奥手ですか?」

パパラッチ魂に火が付き、遥香が勢い良く質問を始める。
清香が、まったくねぇ、と苦笑いを浮かべ、「いつまで待ってんだか」と小さく呟く。
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