迷走女に激辛プロポーズ
居住先から会社までは少し距離があるものの、女性専用マンション、路線一本乗り換え無し、それで家賃補助三万円プラス三万五千円(管理費込み)は十分満足できる条件だ。
私は今、遅めの独り立ちを大いに謳歌している。
――なのに、なぜまた、戦場に駆り出されなければいけないのだ! それも他人の合戦に……。
「という訳で、俺と結婚してくれ」
無駄に整った顔が、いつの間にか鼻先に近付いていた。
鋭い眼光が私の瞳を射るように見つめる。
いかん! イケメンの眼力は凶器だ。
迫力に負け、思わず頷きそうになり、間一髪、理性がそれを食い止める。
偉いぞ、私!
コホンと咳払いをして、彼から顔を逸らすと水を一口飲む。
それから、コトンとグラスを置くと、おもむろに佑都に向き直る。
「という訳でとは、どういう訳? 意味不明なんですけど」
平静を取り戻し、冷静な声で言う。
ヤレヤレ、と佑都は呆れ顔で左右に首を振る。
「今の説明で分からないとは……お前、やっぱりバカだ」
なぜコヤツに、この流れで、『馬鹿』と言われなければいけないのだ!
可哀想な子を見るような目で、私を見る佑都が無性に腹立たしい。
私は今、遅めの独り立ちを大いに謳歌している。
――なのに、なぜまた、戦場に駆り出されなければいけないのだ! それも他人の合戦に……。
「という訳で、俺と結婚してくれ」
無駄に整った顔が、いつの間にか鼻先に近付いていた。
鋭い眼光が私の瞳を射るように見つめる。
いかん! イケメンの眼力は凶器だ。
迫力に負け、思わず頷きそうになり、間一髪、理性がそれを食い止める。
偉いぞ、私!
コホンと咳払いをして、彼から顔を逸らすと水を一口飲む。
それから、コトンとグラスを置くと、おもむろに佑都に向き直る。
「という訳でとは、どういう訳? 意味不明なんですけど」
平静を取り戻し、冷静な声で言う。
ヤレヤレ、と佑都は呆れ顔で左右に首を振る。
「今の説明で分からないとは……お前、やっぱりバカだ」
なぜコヤツに、この流れで、『馬鹿』と言われなければいけないのだ!
可哀想な子を見るような目で、私を見る佑都が無性に腹立たしい。