あなたとホワイトウェディングを夢みて
羽毛に包まれたようなふかふか布団、シルクのような滑らかな肌触り。まるで天国に召されたと勘違いしそうな幸福感溢れる心地良さに、留美は夢現で瞼が少し開く。
薄らと見える景色は、高い所に平坦なアイボリーの色が広がり、中央にアンティークなシャンデリアが下がる。
夢の続きかと今度は横を見ると、やはりアイボリーの壁が続き、重厚感のあるサイドボードやソファが並ぶ。足元へ視線を移すとカウチソファがあり、アンティークショップから買って来たのだろうかと、寝ぼけ半分の留美の脳内ではネットの販売店のサイトを思い浮かべる。
そして、再び視線を横へと動かすと、サイドボードと反対側にはエンジ色の豪華な刺繍張りのカーテンが下がっていて窓を覆っている。
(コレって夢の続き? だとしたらもしかして隣には素敵な王子様がいて朝チュンな光景?!)
留美の認識では狭い六畳一間が寝室サイズ。それより広いのは座敷とリビングルームくらいなもの。
留美の寝室の二、三倍はありそうな広さと、北欧のお城から抜け出たような調度品など、おとぎ話の世界だと思い込む。
だから、きっとこれは留美が幼い頃から何度も夢に見ていた、王子様とのシンデレラストーリーのワンシーンだと完全に夢心地。
そして、夢には欠かせない素敵な王子様がベッドに横たわっているはず。
留美が視線をベッドに戻すと、確かにそこには専務似のイケメン王子様が眠っていた。