あなたとホワイトウェディングを夢みて
「積極的で嬉しいよ」
唇に郁未の息が吹きかかる。その熱くて生々しい感覚。間違いなく現実世界なのだと確信した留美は目を見開く。
すると、完全に組み敷かれた状態に留美の顔は茹で蛸のように真っ赤に染まる。信じられないと唇をプルプル震わせる留美は自分の失態を恥じる。
「どうした? さっきまで留美がリードしてくれたのに。もうキスしてくれないの?」
クスッと笑う郁未は優しい瞳で見つめている。
女なら誰とでもこんな行為に及ぶのが郁未だと理解しているのに、胸の鼓動は大きくなり留美の瞳は郁未から逸らせない。
すると、近付く郁未の身体がアップで目に入ると、首筋から肩にかけて肌が露出している。さっきまでの流れを思い起こすと、郁未に抱きついた時、彼の肌の温もりにほだされて、郁未が服を着ていないなど考えつかなかった。
もしかして、郁未は裸体なのかと首から下を覗き見ると、間違いなく郁未の素肌が露わになっていた。
「は、裸?!」
夢でも天国を彷徨っているのでもなく、目の前の郁未は生身の人間だ。夢が見せる映像ではないと分かってしまうと、留美は頭が真っ白になりパニック寸前だ。
「今更、何を言っている? 最初から裸だっただろう」
言葉にならない留美は更に口をパクパクさせ、吸う息さえままならない。
「あ、あ、な……」
やっとこの状況を飲み込めた留美は顔面蒼白となる。