あなたとホワイトウェディングを夢みて
だから、郁未対してハッキリと自信を持って答えられる。
「当然です。これは業務で使用するフォームの作成です。いい加減な気持ちで仕事をしていませんし、仕事には責任を持ってやっています」
もし、これ以上言いがかりを付けるのであれば、たとえ専務が相手でも叱咤するつもりでいた。
ところが、郁未が引き出しの中からCDを取り出し留美に差し出すと、今度は投げつける事なく直接留美に手渡した。
受け取ったCDケースには真新しいCDが一枚入っている。
不可解な顔をした留美がケースと郁未の顔を交互に見ると、郁未にフッと笑われる。
「そのCDは空だ。新品だから中にはデータは入っていない」
「どうして新品を?」
不思議に思った留美がケースの両面を確認する。
やはり新品で間違いなさそうだ。
「表紙の動作が正常に動かない。それに、解説通りに進めても動きが止まる箇所が一か所ある。資料に赤印を付けている。早急にやり直して提出し直せ」
それは有り得ないと、留美は自分の耳を疑った。
表紙は一番大事な箇所だけに何度も動作確認は行っている。今朝の今朝まで、何度もチェック済みだ。
もしや、資料を見ても操作できなかった専務の所為で、自分に責任を押しつけられたのかと、郁未の能力を疑う。