まるでキャラメルのように


そして、また目覚ましが鳴って。誰にも強制なんてされていないのに、それの繰り返し。

湯船につかっても疲れは取れなくて。ホームセンターで買った入浴剤が無意味に肌をベタつかせている。

「っ…、はぁ……」

声にならない声が溜め息のようにバスルームで湯気となって消えた。

ごわごわしたタオルで体を拭く。

香水のような柔軟剤があるって若い社員の子が言っていたけど、私はもう35歳で。若くなんてないから…。このタオルが丁度良い。

そう思うと涙が頬を伝った。


私は、スエットを着て、ブランド物の財布を持つと、『部屋』という蛹から飛び出した。

向かったのはコンビニ。

買ったのは缶ビール。


そのプルタブを弾いて、マンションの前にある花壇に座った。

毎朝、管理人さんが水をあげている綺麗な向日葵が夜明けを待っている。

私は思う。明日なんて来なければいいのに、と。どうせ明日も繰り返すのだから。




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