狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
1 プロローグ
「赤野……さん?」
「ふ、ふぁははいっ!」
耳元に囁く澄んだ深い声色に
私はビクンと身を震わせた。
「俺がさ~あ…
あれだけ言った筈だよな?間違いが5ヵ所あるってよぉ」
段々と下がる声のトーンに、ゾクリと背筋が凍りつく。
くっくっく…
声の主は、含み笑いで私の恐怖をさらに煽った。
「なのにさ。
ど~うしてそれがそのまま、先方にファックスされちゃったのかなぁ?」
「そ、それがその。
修正前のが机の上に残っておりまして…」
「ほう……」
震える肩に大きな掌がストンと置かれ、2回ほどモミモミされた。
「リ、リーダー。これってセクハラ……」
「何⁉」
その言葉を放った途端、ふっと背後から人の気配が消え、重石が取れたように私の肩が軽くなった。
ホッと胸を撫で下ろした、その直後。
「“セクハラ” だぁぁ?」
私ごと事務椅子が90度回転したかと思うと、激しい怒声が響き渡った。
「ふ、ふぁははいっ!」
耳元に囁く澄んだ深い声色に
私はビクンと身を震わせた。
「俺がさ~あ…
あれだけ言った筈だよな?間違いが5ヵ所あるってよぉ」
段々と下がる声のトーンに、ゾクリと背筋が凍りつく。
くっくっく…
声の主は、含み笑いで私の恐怖をさらに煽った。
「なのにさ。
ど~うしてそれがそのまま、先方にファックスされちゃったのかなぁ?」
「そ、それがその。
修正前のが机の上に残っておりまして…」
「ほう……」
震える肩に大きな掌がストンと置かれ、2回ほどモミモミされた。
「リ、リーダー。これってセクハラ……」
「何⁉」
その言葉を放った途端、ふっと背後から人の気配が消え、重石が取れたように私の肩が軽くなった。
ホッと胸を撫で下ろした、その直後。
「“セクハラ” だぁぁ?」
私ごと事務椅子が90度回転したかと思うと、激しい怒声が響き渡った。
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