狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
「く、口移しはムリですけど…」
「…っ⁉」

私は、1錠を包装から出すと、閉じている彼の唇の端にそっと押し込んだ。

「…おい」

また1錠。震える指で、同じように挿れていく。なるべく触れまいとはしても、柔らかな感覚が指の腹に伝わる。
ゾクリと背中に電流が走る。
 
「いい加減に……」
「え、え~っと待ってね。あと1錠だけ…」
箱に書かれた数を確認し、同じ動作を試みた時。


にわかに景色が反転して___

「きゃうっ……」

次の瞬間。

私はカチョーの身体の下にいた。

「いい加減にしとけよ。だから帰れっつったのに…
お前さあ?だいたい、一人で男の部屋に入ってさ。
アブないとかは思わないのか。え?」

クッと口の端を歪ませる。

「か、カチョーは…でも…風邪で熱が…調子が悪くって……あ…」

「ケモノは…手負いほど危ないらしいよ?」

掴んだ手首にグッと力が込められた。
ユルリと身体に乗り上げる。


熱に充血し、澱んだ眼がピタリと私を見据えている。

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