狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
あの日___

コタツの傍ら。
私に覆い被さったカレは、途中で急に行為を止めた。

『君……もしかして』

カレが力を緩めたから、私は乱れた衣服をかき集めて、部屋の端まで急いで逃げた。

隅で蹲(うずくま)ってガクガク怯える私に向かって、彼は信じられないといった顔をした。

『ゴメン、僕……知らなかったから。君はその…』


ウン、仕方ないね。
だって私も知らなかったもん。


私が……自分が……


バージンだったなんて。



『僕、最後までしてないからね?大丈夫だからね』

彼は本当に申し訳なさそうに、その台詞を何度も言った。

私がちょっと泣いてたからかもしれない。

その後、同じくらい何度も『ゴメン』と謝った。

カレが何を言ってるのか、どうして謝っているのか、私にはよく分からなかったが…

どうやら私は、またしても“テイソーの危機”を免れたらしい。
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