狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
「それとあの…」
モジモジと人差し指を弄っていた私は、やがてパッと顔を上げた。
どうしてもこれが言いたかったのだ。
「とっても…その…カ、カッコよかっかですぅ」
尊敬に瞳をキラキラさせて、ジイッと彼の目を見つめる。
彼は照れ臭そうに頭を掻いた後、自信ありげに胸を張り、“ウン” と大きく頷いた。
「でも…却って良かったよ。
あのままやるのは、俺もどうかと思ってたんだ。
赤野は案外、俺のラッキー・ガールなのかもな」
「そ、そんなぁっ」
ことのほか機嫌の良い彼が、私に歩調を合わせてくれて、木漏れ日の中をぬけてゆく。
何だかちょっとデートみたいだ。
ルンルンと浮かれながら、談笑していた時だった。
「大神さん……」
突然後ろから、か細い声が大神サンを呼び止めた。
事務服を来たその女(ヒト)には見覚えがある。さっき会場の受付をやっていた支社のスタッフだ。
今にも泣きそうな顔で、息を切らして追い縋って来た彼女には、ただならぬ悲壮感が漂っている。
すると、さっきまで上機嫌だった彼が、途端に表情を曇らせた。
「……君か」
モジモジと人差し指を弄っていた私は、やがてパッと顔を上げた。
どうしてもこれが言いたかったのだ。
「とっても…その…カ、カッコよかっかですぅ」
尊敬に瞳をキラキラさせて、ジイッと彼の目を見つめる。
彼は照れ臭そうに頭を掻いた後、自信ありげに胸を張り、“ウン” と大きく頷いた。
「でも…却って良かったよ。
あのままやるのは、俺もどうかと思ってたんだ。
赤野は案外、俺のラッキー・ガールなのかもな」
「そ、そんなぁっ」
ことのほか機嫌の良い彼が、私に歩調を合わせてくれて、木漏れ日の中をぬけてゆく。
何だかちょっとデートみたいだ。
ルンルンと浮かれながら、談笑していた時だった。
「大神さん……」
突然後ろから、か細い声が大神サンを呼び止めた。
事務服を来たその女(ヒト)には見覚えがある。さっき会場の受付をやっていた支社のスタッフだ。
今にも泣きそうな顔で、息を切らして追い縋って来た彼女には、ただならぬ悲壮感が漂っている。
すると、さっきまで上機嫌だった彼が、途端に表情を曇らせた。
「……君か」