狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
19 究極の痩せ我慢
社に戻ってから彼は、私に課に上がらずに待つようにと命じた。
課の皆にも、顔を見られたくないからちょうどいい。
言われた通りにエントランスの片隅で待っていると、彼はすぐに降りてきた。
「行こうか」
彼はどうやら本当に、歳末の貴重なアフター5をフルで付き合ってくれるつもりらしい。
その夜、私は大いに荒れた。
女友達にだってしないような世にもミジメなフラれ話を、
異性の、ましてや仕事の上司でしかない彼に半ばヤケクソにぶちまけた。
隠しようもないほど全てを見られてしまったことが、私の口をより滑らかにした。
寺田さんの事、ハヤト君の事…
いつもみたいに、毒づいて笑い飛ばしてくれるなら、それはそれでいいと思った。
だけど彼はそうはしなかった。
あくまで真摯な顔つきで、グダグタ話を聞いてくれた。
「……とまあ、そんなワケで。寺田さんの事はもういいんです。
うすうすそんな気がしてましたから。
それよりも私は……ん?」
「全っ然良くない…」
見ると彼の握りしめたグラスが、ピシッとひび割れている。
「うわっ。か、カチョー?」
「アイツだけは赦せない…」
課の皆にも、顔を見られたくないからちょうどいい。
言われた通りにエントランスの片隅で待っていると、彼はすぐに降りてきた。
「行こうか」
彼はどうやら本当に、歳末の貴重なアフター5をフルで付き合ってくれるつもりらしい。
その夜、私は大いに荒れた。
女友達にだってしないような世にもミジメなフラれ話を、
異性の、ましてや仕事の上司でしかない彼に半ばヤケクソにぶちまけた。
隠しようもないほど全てを見られてしまったことが、私の口をより滑らかにした。
寺田さんの事、ハヤト君の事…
いつもみたいに、毒づいて笑い飛ばしてくれるなら、それはそれでいいと思った。
だけど彼はそうはしなかった。
あくまで真摯な顔つきで、グダグタ話を聞いてくれた。
「……とまあ、そんなワケで。寺田さんの事はもういいんです。
うすうすそんな気がしてましたから。
それよりも私は……ん?」
「全っ然良くない…」
見ると彼の握りしめたグラスが、ピシッとひび割れている。
「うわっ。か、カチョー?」
「アイツだけは赦せない…」