狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
慌ててパパッと手を離すと、2人が拾ったレシートは再び床に散らばった。

みるみるうちに、顔が熱っぽく火照りだす。すると何故か、彼も吊られて頬を赤らめた。


不思議な事に、この症状はカチョーにまで伝播しちゃってるみたいだ。

ミラーニューロン(モノマネ細胞)の力なのだろうか……


と、席からそれを見ていた三上さんが、イライラと喚きながら席を立った。

「あ~カユっ!
何かむず痒いんですけどっ。
何それ⁉あんた逹中学生?
特にカチョー、それが30男のやる事ぉ?」

「…同感だわ三上君。こないだから私、胸焼けがしていけないの」

水野女史が割って入った。

「?」

先輩方は本当に訳が分からない。

しかし、カチョーには通じるものがあったらしい。

何か言いたげに2人をジロリと睨み付けると、自分が拾ったレシートを私のデスクに置いて、ブスッと席に戻っていった。


私は、三上さんのカユイ背中を掻いてあげながら(カチョーがまた恐ろしい形相で睨み付けていたが)、思考の中に入っていった…
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