狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
そんなこんなで、結局言い出せないまま、気が付けばもう1月が終わろうとしていた。

あうぅっ…
私ってば、どこまで小心者なんだろう。毎日公園と会社で会うってのに……

それは日が経てば経つほど言いにくく、
さらには、ためらう理由まで増えてしまった。

年が明けて程なく、カチョーは以前に増して忙しくし始めていた。

予想通りにネチネチとやられている平田さんのフォローに回ったり、他部との仕事も急に増えたり、近頃は重役の人達にも呼ばれているみたいだ。
 
その様子を見た私は、すっかり気後れしてしまっている。

やっぱり、そんな人が私を『好き』になるなんて、間違いだとしか思えない。

あの男、『好きだ』なんて大概の女に言ってそうだしな…

あーあ。
やっぱりあれは、私の願望が作った夢マボロシなのかなあ……

心が折れそうになりながらも。
2月のカレンダーを捲ったのを機に、私はようやく再起した。

 
そうだ、初心に返ろう。
カチョーがどうあれ、自分の気持ちを伝えるんだと決めたはず。

『仲良くなりたい』だなんてフシダラな下心があるからいけないんだ。

っしゃあ、ヤルぞ~!
< 204 / 269 >

この作品をシェア

pagetop