狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
意気込んではみたものの、今朝の公園でもあえなく挫折した私は、とうとう背水の陣を敷くことにした。

ようし、リミットは今日とする。絶対に、何としても伝えるんだ。

じゃなきゃスッパリ諦める!



狙いを定めたお昼の休憩時間。

友達のランチの誘いを断った私は、まだ会議中のカチョーを、通路の角で待ち伏せた。

外から様子を伺うと、新年早々の会議は随分と長引いているようだ。
聞き耳を立てること15分、会議室の扉がカチャリと開いたので、私はササッと角に隠れた。

ほどなく、大神カチョーが姿を現した。
戸口で数人と話した後、1人でこちらにやって来る。

よーし、チャンスだ!

おもむろに、私は角からニュッと顔を出した。
偶然を装って自然な感じで声をかける。

「あ、あれぇ?大神カッチョーじゃありませんか、いや~奇遇ですねぇ」

「赤野?どうした、珍しい所にいるじゃないか」
大神カチョーはキョトンと私を見た。

「あ…」

そうだった。
ここは平社員にあまり関係のない重役フロア。思いっきり不自然だ。

「い、いやその…
私、あの……か、カチョーにちょっと話があって…」

出鼻を挫かれた私が、しどろもどろに言いかけた時だった。
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