狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
私の肩の少し上、棚の縁を片手でつかむ。

距離が、近い。

びっくりして見上げた私に、彼はキラリと瞳を光らせた。
 
「赤野さん。気持ち、切り替えよ?
別れがあれば出会いもある。
手の届かないカチョーの事はさっさと忘れて、
取り敢えず俺と付き合ってみない?」


「はぇ⁉」


一瞬の間を置いて。


ショック状態の私の脳が
やっとまともに動き出した。

「や、やだなぁ~、ジョーダンは顔だけにしてくださいよ。
三上さんこないだ、ミスコンの女子大生の彼女のコト、散々自慢してたじゃないですか」

途端に彼は悲しげな目をし、フルフルと首を横に振った。

「あの子ね…付き合ってそろそろ半年になるんだけど。
俺ってホラ、怒んないし優しいじゃん?どうも二股かけられてたみたいでさぁ。 
いつも長続きしないんだよね……」

「へえ、モテる先輩でも…苦労してるもんなんですね…」

シミジミ返すと、彼はしめたとばかりにニッと笑う。
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