狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
「そうさ。
だから俺には今、赤野ちゃんの大らかな愛が必要なんだ!」

芝居がかった台詞と共に、急接近してくる端正な顔を、私はグイィっと遠ざけた。


「そ、それでも!
私が失恋したばっかりだからって、あまりにテキトウじゃないですか」

彼は再び眉尻を下げ、悲しそうな顔をした。

「酷いなあ、これでもずっと前からアピールしてるつもりなんですけど?
……俺、君となら楽しくやっていけると思うんだよね。
君ってホラ、あれに似てる。コロボックル?幸せの妖精みたいな…
御守りみたいに、ストラップにして持ち歩きたい感じ?」

言いながら抜け目なく間を詰めてきた彼が、空いた右手を棚について私を腕の輪に囲う。


……まただよ。
何で私はヘンなのにばっかり例えられるんだろう。
どうせ口説くなら、アイドルとか女優とかさあ…ブツブツ…

あれ?
“まただ” って、前にもそんなことあったっけ。

ああ、そうだ。
忘れもしないあの夜に、カチョーが言ったんだ。

私を“ザシキワラシ” って。

オヤまてよ。
その前にもワラシの話を…
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