狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
♪リンゴ~ン♪


お昼のチャイムが鳴ったと同時に、私はそそくさとそれをデスクの引き出しから取出した。

机ごと身体で覆い隠すと、ぐるりと周囲を見渡す。

右ヨーシ、左ヨーシ。

人気が無いのを何度も確かめたてから、間違わないように慎重に、イソイソと名前を書き始める。

集中、集中……

ところが___

トンッ。

「アギャッ…」
「赤野さーん。
お昼、たまには一緒に行こ?」

死角の背後から現れた三上さんが、突然右肩を叩いてきたじゃないか。

私は手元をズルッと狂わせ、“赤” の払いを変に伸ばしてしまった。

「な、何するんですかっ」

思わずガバッと起き上がって抗議すると


「何、まだ仕事?」
三上さんがサッと書類を奪った。


「あ、だ、ダメっ!」
大慌てで取り戻そうとする私の手をスッと遠ざけながら、彼はそれをマジマジ眺めた。

「へ~え、何々?婚………‼」 

彼は目を丸くして私を見た。

「………何で?」
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