狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
あうう…

すっかり狼狽えてしまった私が何も言えないでいると、彼はそれを持ってつかつかと課長のデスクに歩み寄った。

1枚紙をバンッとデスクに叩き付ける。

「カチョーこれ……マジっすか」

目を覆った指の間からそーっと盗み見ると、膠着状態の2人が睨み合っている。



やがて、大神カチョーは満面の笑みを湛えながら、彼に告げた。

「ああ、本当だ」

途端。

驚き顔の三上さんは、バッと頭上に用紙を上げた。

「皆、聞け~~」

おお~~~~~。

ドヨめく業務課は
さっきよりもっと大きな拍手に包まれた。


「返して~」
追い縋り、何とかそれを奪いかえそうと、ピョンピョン跳ねている私。

わざと高くにそれを上げ、私から逃げながら大声で触れ回る三上さん。

大神カチョーは騒ぎを止める風もなく、いつも通り、自信たっぷりに口許を上げ、目元をゆるめてそれを眺める。

終いに三上さんは廊下にまで逃げ出してし、社内中に触れ回っていく…


皆さーん!聞いてクダサーイ‼


「ダメーーーーーー‼」

追いかける私、逃げる三上さん。
それを遠目に、少し照れ臭そうな笑顔で眺めている大神カチョー。


これで本当に大団円。


シメには水野女史が、キラリとメガネを光らせた。

「お幸せに。
大神クンに……赤野サン」

でもね、あなた達。

これからがきっと……

大変よ?
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