狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
「サラに!
とっても……フフッ、甘いのよ?
良かったら、“お味見”しませんか?
手伝ってくれたほんの オ・レ・イ」

私はさらに畳み掛けると、プラスティック・スプーンを持つ右手を上げて微笑んで見せた。

「そ、そんな……いいよ、部下の…しかも職場でそんな」

フフフッ、
私ってばとんだ小悪魔。

慌てる彼をさらにそそのかす。

「何を今さら。私とオオカミさんの仲じゃないですか」
「えっ…そ、それはまあ……でもあの時と今は…」

狼狽えるオオカミさんは、何だか少しカワイイ。

「ささ、ハズかしがらずに。もっとこっちに寄って……」

「じ、じゃあ遠慮なく……何だ、意外と積極的なんだな」

彼はカバンを置くと、オズオズと私の傍らに来た。
ひどく戸惑いながらも、中腰に顔を近づける。長い睫毛が震えている。
そんな彼が可笑しくって、私は更に間を持たせた。
 
「もっとお口を開けて?」
入れられないから。

「ま、まさかそこまで……やっぱり今日、行かせなくて良かった」

「?」
何か意味不明な事を呟いているが。
まあいいや。

恥ずかしさのあまり、とうとうお目めまで閉じてしまった“あーん”状態のカチョー。

プッ、こんな姿、お昼のオフィスじゃちょっとお目にかかれない。

折角の絶景を、日頃のリベンジとばかりにタップリと眺めた後、私はスプーンいっぱいにプリンを掬った。

「いきますヨ…」
「う、ウン」

せ~~の!

ぱく。
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