狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
すると、カチョーが突然、
三上さんにぐっと詰め寄った。

「……なんすか?」

反抗的に、カチョーを上目に睨んだ彼を、驚いたほかの先輩達が嗜める。

「オイ、三上止めとけ…」

顔を寄せて睨み合う2人は、
今まさに一触即発。

そ、そんな‼ 喧嘩は止めて、2人とも。
私、私なんかの為に‼

酔いしれた私は、涙ながらにタクシーの前から駆け出した。


と、大神カチョーは急に穏やかに微笑んだ。
三上さんの左耳に、低い声で囁きかける。

「三上、女の子には……ちょっと不向きな店だ。どうする?赤野と行くか、俺と行くか」

三上さんが、ハッと目を見開いた。
「………」

暫し沈黙。
 
やがて2人は、ニコッと私を振り向いた。

「あー……カチョー命令なんで。ゴメンね、赤野ちゃん」

「ヨシ、話はついたな。あ、運転手サン。出して下さい」

5000円札を握らされ、後部座席に押し込められた私を載せて、タクシーはゆっくりと発進した。

ニコやかに手を振る三上さん。

どうして私の周りには、こんな男しか居ないんだろう…

「明日は朝イチ、遅刻するなよ~~」
カチョーの澄んだ声だけが、私の耳に残った。


キ、キラいだぁ‼‼
 
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