狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
ハッキリ言って彼のストライクゾーンの広さは半端でない。
美醜、年齢(ただし成人以上)を問わない心理は、面食いな私には考えられなかった。
どこかの映画俳優みたいに1000人斬りでも目指してるんだろうか……

すると彼は、しれっと答えた。
 
「だって、選り好みしたら失礼じゃないか。皆それぞれ、良いところが有るわけだし」

「ほ、ほ~う…それはスバラシイ…」
博愛主義だ。会話の主旨を無視すればだけど。

私の皮肉を聞き流し、組んだ腕を枕にして、彼はボンヤリ宙を見る。
3回目の信号機待ちにウンザリした私は、更に話を恋愛談義に持ち込んだ。

「すると……アレですか。
カチョーは光源氏よろしく、理想の女性を探し求めてるワケですか。
それとも『紫の上』みたいな原石を見つけて育てちゃうとか?ヤらし~な~、このっ」

彼はそのまま、ハハハと笑った。

「そんなんじゃねえよ。
女性は皆、綺麗で柔らかくて優しいから好きだけど。長く一緒に居たいとは思わないんだ。
他にもっとやりたいことはあるからさ…

今は余計なシガラミを抱えたくないし、女に縛られたくもないな」
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