狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
「……ゆ、夕べの酒が今になって回ってきたかも知れない……あとどれくらいで会社だ?」

「渋滞抜けたら、10分くらいですけど」

「そうか。じゃあ、ちょっと寝かせろ。
……もうあんまり話しかけるなよ……」

そういって彼は、腕を置いて顔を隠し、眠ってしまった。


隣から、安らかな寝息が聞こえてくる。

若すぎる課長のオオカミさん。


私にばかり運転させるのは、目上だったり競争相手でもある男の部下に、こういう姿を見せられないから…かも知れない。

クスッと笑う。
無理しちゃって、オオカミさん。
プライドが高いからなぁ。

 
にしても今日は新発見だ。

稀代の女タラシ、大神秋人が追うロマンスは、絶世の美女でも理想の美少女「紫の君」でもない、
幸せを運ぶ「ザシキワラシ」


でもアナタ。
それってよく考えたら……
“妖怪”じゃないですか。
フツーにいないでしょ、そんな女。


そうだ!次のランチタイムのネタにしよう。
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