七夕のキセキ~七夕から始まる恋の魔法~
順調に愛を育んできた、1年後ー

今日で、交際一周年を迎える七夕。

今年も二人で大きな笹の前にいる。毎年、習慣のようにここに来る。

そして短冊にお願いを書くんだ。

「今年は何て書こう?」と俺は言って、灯を見る。

「蒼に逢いたい…」と灯は笑う。

「忙しいから書くなって言われたのに?」と笑ってやれば、

「お礼を言いたいから」と灯は笑う。

「ヒロくんは何て書くの?」と灯が聞いてきた。

「もちろん、灯とずっと一緒にいれますように…だろ?」と俺が言えば、

ありがとうと笑ってくれる。

俺は灯のこの笑顔が大好きだ。

「短冊ってさあ、お願い書くことだけが全てじゃないと思うんだよね。だから、蒼にお礼を書こうよ。二人で…。それに、ワザワザ短冊にお願いしなくても、灯はずっと俺のそばにいてくれるんだろ?」と俺が言えば、

「もちろんです」と笑ってくれたので、二人で顔を見合わせて笑あった。

そして、俺らは短冊に蒼ありがとうと書いた。

俺らの中に蒼は生き続けてる。だからこれからも一緒に色んなことを乗り越えていこう…。

そう二人で笹を見ながら誓った。

しばらくして…ふと、声をかけられた。

「ヒロ?」って。

彩だ…。「こんにちわ~」と笑顔で灯に話しかけるけど…灯は笑っていない。

どころか、俺の腕に自分の腕を絡めてきた。

うぉーっつ、これってやっぱりヤキモチ?!

可愛いことしてくれんじゃん。

ちょっと意地悪してやるか…。って嫌々、去年みたいにはなりたくないな。話すなら、灯も連れていって…今年はちゃんと彼女って紹介しよ。

「また話そ?」と彩は言ってくる。

けど…去年より穏やかに見える。去年はかなり追い詰めてた感出てたのにな。

「いいよ。灯も連れていっていいかな?」と俺が言うと、笑顔でもちろんと言われた。
< 9 / 11 >

この作品をシェア

pagetop