悲恋のおしえ
最初のおしえ
春。
出会いの季節。
そして別れの季節。
一つの季節なのに様々な色がある。
その色を見ていると
もっと沢山の色を、
その季節について私は知りたくなる。
「知りたい」とその季節に告げれば
その季節は色んな事を教えてくれる。
とても詳しく、とても丁寧に。
どんな事でも教えてくれる。
私はその季節が沢山の事を
教えてくれるから
その季節が来る度に賢くなる。
だけど、いつも突然去っていく。
別れの言葉も
感謝の言葉も
伝えられないまま去っていく。
でもその季節は、
去り際に毎回私に言う。
「知りたい事は何でも教えてあげる。
だけど、期限が迫っている。
だってあともう少しでこの季節は終わるから。
教えてあげられる事も限られてくる。
さぁ、言ってごらん。
あなたの知りたい事はなんだい?」
結局いつも
その年、最後の質問は
私が分かる前に
その季節が去っていく。
そして今年も同じ常套文句を吐く。
今日の日付を見てみれば
もう次の季節がやってくる頃の日付。
知りたい事、まだたくさんあるのに。
でも期限が迫っている。
だから私はその季節に伝えた。
「恋の色を知りたい」と。
さぁ、その季節は、
私にどんな風に
恋を教えてくれるのだろうか。