君色キャンバス

 クラス替えの掲示板の方に行くと、菜穂が私を発見し、思いっきり興奮気味に手をぶんぶん振るもんだから一緒のクラスなんだってことは見ないでも分かった。

 
 菜穂の近くに寄ると掲示板が目の前にあったので、ちらっと見てみるとやっぱり一緒のクラス。


 運よく、由紀ちゃんと澪も一緒。

 今年も3人一緒のクラス。

 振り返ると2人が私に向かってVサインを贈った。


「やっぱ私たち、一緒のクラスな予感してたんだよねー!!」


 菜穂が自慢げに話すもんだから、思わずクスッと笑ってしまう。

 
 だってそう言ってるくせして、昨日は「クラス離れてたらどうしようー!」て半泣き状態で昨日の深夜ごろまで私と長電話してたもん。

 
「菜穂は私等と違うクラスでもやっていけそうな気がするんだけど」

 澪がちょっと悪戯っぽく笑うと、「ひどい~~」と私に抱きついてくる。


 でも本当に澪の言う通りクラスが違っても、友達はすぐできると思う。

 
 人懐っこいし、誰からも気に入られるタイプだから。

 
 菜穂は周りの人と上手く合わせることが得意で、男子からも女子からも裏表せずに、器用に上手くこなすし、外見だってこの学年でもキレイな方だと思う。


 無駄な肉ないから脚とかすらっとしていて……モテるのも頷ける。


「はいはい、今年も仲良し3人組でやっていきましょーー!!」


 由紀ちゃんが菜穂の頭を撫でて、そのまま私たちは新しい教室へと向かおうとした。


 でもその次の瞬間、足を止めてしまった。


「……北村君?!」





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