君色キャンバス
 北村君はニコっと菜穂に微笑むと、

「いいよ」


 目の前に起きてる光景が、現実じゃない。

 これは夢? 

 思わず頬をつねってしまう。

 当たり前だけど痛い。

 現実味ある痛み……。


  菜穂は「やった!」と満面の笑みで自分の携帯を取り出すと、2人が赤外線でケー番を交換していた。


「じゃ、ダブルデートの計画は俺が考えていい?」

「いいよ!! ……頑張ってね」


 その意味深な“頑張ってね”は何?!

 
 2人は最後まで笑いあっていて。

 その笑顔が奇妙にさえ思えてきた。


「……さっ! 
 今日は始業式だし、早めに帰れるから一緒に可愛い服買いに行こうっ!!」


「えっ……?!」

「北村君の心をわしづかみするために、いざ行こうではないか~~」

「はっ?!」


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