君色キャンバス
それなのに、榊原さんはまったく怖気ずく気配さえも見せずに、ニヤッと笑みを浮かべた。
「ははっ! ははははは!! お前、知りたいのか?」
「な、ななんだよ?!」
掴んでいた手が緩んだ瞬間、榊原さんは俺の腹を殴った。
「うっ」
「いいかげん、目を醒ませっ! お前がそんなんだから、そんなんだからっ……教えれないんだ」
そう言った榊原さんの目からは涙が溢れていた。
その光景をぼうっと見て、俺は記憶を失った。
* * *