君色キャンバス


――

――――

 いつもの朝ならこんなにくっきりと見えはしない。


“今日”だから、朝の輪郭さえもしっかりと見える気がしてくる。


 
「……ごめんね」


 
 今まで何もかもが平凡だった。

 変わらない日常で、変わらない詩を綴っていた。


 色褪せることなく、進むこともなく。



 そんな私だったのに、一之瀬君と出逢って色んなことを知った。



 一之瀬君の姿を目で追った瞬間、

 一之瀬君が私のルーズリーフを拾ってくれた瞬間、

 私の詩を絵にしてくれた瞬間、

 一之瀬君の桜の絵を見た瞬間、


 

 私が一之瀬君を好きになった瞬間――


 もうきっと彼方色のキャンバスに染められてた。




 

 
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