君色キャンバス
 その姿を見届けた後、思わずため息。

 どうしよう。

 最近私の目の前でで沢山の事柄が動きすぎて、どうしようも出来ない。雁字搦め。


 ふと持っている新聞のページを捲る。

 校内新聞という名目だけあって、学校の内容が事細かく羅列している。

 ちゃんとイラスト、俳句、相談など読者うけしそうなスペースも設けられている。

 私がこの新聞に詩を書く……?

 この校内新聞は毎月3日に発行され、先生から生徒まで幅広く読まれているのは知っていた。

 
“学生の、学生による、学生のための、新聞”


 そう書かれている。


 この新聞に、自分の書いた詩を、載せる?


『中野さんしか、この担当は出来ないと思ったからです』


 私の、詩が……? 

 
 私の想い、全てを。

 
――書く。



 一之瀬を見た。

 一之瀬は相変わらず私を見ていた。


「私……」

 私……


「書いてみようかな」

 それが私にとっての小さな決意だったんだ。
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