君色キャンバス
なんとも言いがたい感情に包まれる。
このまま俺達を消し去って、どこまでも2人だけで行けたらいいのにと思うのは、やっぱり俺の勝手な考えだ。
中野は、ただただ目に映る光景を見逃さないようにずっと上を向いたまま視点を変えることは無かった。
感情だけでならきっと君の前では嘘なんかつけない。
言葉があるから嘘をつく。
心のままに、伝えられたなら君はどんな顔をするんだろうか。
「俺は――」
ドクンと一つ、心臓が震える。
俺は右手にぐっと力を込め、握りしめる。
「絵を描きたい」
さっきまであんなに空に目を細めながら見入っていた中野が、一気に俺の方へと向いた。
その表情は、不安とも期待ともとれない表情。
きっと俺の考えを予感してるんだろう。
その表情に確かにある俺たちの繋がりにおいすがりたくなる感情を必死で殺した。
じゃないとこのままじゃあ進めない。