君色キャンバス

 ずっと俺は探してた。

 この心に空いた穴を埋めるものを。


 でもその埋めるものはもうとっくの昔に、埋まっていた。


 きっと君が俺の中に入ってきた瞬間から、何もかもが君色に変わっていって、それは曇ることなく澄んだ青空を見せてくれる。


 君にしか出せない色。



「――俺の幸せは中野が必要なんだ」

「……えっ?」


「俺が幸せになるのは、中野がいないとだめなんだ」

「何それ…………!
 私がどんな気持ちで言ったと思うの?!」

「分かってるから言ったんだよ」


 中野の手にそっと俺の手を絡み合わせると、中野の手もそれに応えるかのように、ぎゅっと強く絡んできた。

 握り締めあった手からは何かが繋がったように思えて、不思議と笑えてくる。



 この瞬間が、俺にとってはたまらなく幸せに思える。


 側にいてくれる君がいるから。

 


 幻想でも、空想でもない。

 ちゃんと確かにいてくれる君を愛しいと思う。
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