君色キャンバス
「――中野、今日俺の家に泊まらないか?」
「え゛?!?!」
思ってもなかった言葉に思わず声が裏返った。
それって、もしかしたらそういうことするお誘い?
いやいや! 一之瀬君はそんな人なんかじゃない。
第一、私はまだそういうの無理――!!
「……やっぱ無理か?」
「あっ、……と!」
色々な考えが頭の中にぐるぐると回る。
憶測だけで進行する脳内じゃあ、完全混乱してる。
「私…………」
もしかしたらもう二度とこうやって逢えなくなるかも知れない。
一之瀬君の側にいれるのは最後かもしれない。
この時間を大切にしたい。
……一之瀬君との思い出を刻みつけておきたい。
「……いいよ」
「え?」
「私、一之瀬君の家に泊まる」
* * *