君色キャンバス
私の額に手を当てて、自分の額の温度と確かめる一之瀬君。
やっ……やばい。
額にある、一之瀬君の手。
その手の暖かさが妙にリアルで、私の心臓は一気に加速。
体中の体温がこれでもかってくらい上昇。
「中野、お前……熱」
「違うのっ!」
一之瀬君の言葉を遮って出てしまった言葉。
一之瀬君の目は明らかに驚いている。
「……私……緊張、してて……」
「なんっ……――」
“なんで”と訊こうとしていた言葉が、途中で途切れた。
きっと、一之瀬君も理解したんだ。
私と一之瀬君がこの家で2人きりだっていう状況に。
気がついてしまえば、更に一之瀬君の目が見れない。
恥ずかしくて、恥ずかしくて。
「……中野」