君色キャンバス
次第に夜が白み始め、窓の外からは何も見えなかったのに少しずつ朝の太陽の光が差し込んでくる。
「もう、すっかり朝が来そうだね」
「そうだな」
朝が来たら、お互いもうここには居られない。
またあの日々に戻らなくてはいけない。
一緒に居る時間が長ければ長いほど、離れるのが恐い。
一之瀬君の手を取って、このままどこかに逃げてしまって、誰も知らないところで2人で一緒に居られたらいいのに。
一之瀬君は一気にまた絵に集中し、進めると、急にガクッと項垂れた。
座っていた椅子からバランスを崩しそうだったから、咄嗟にかばいに行くと、私じゃあ一之瀬君の体重を支えることは出来ず、そのまま押し倒されるような形になってしまう。
「いっ、一之瀬君っ?!」
返事はない。
どうやら一之瀬君は寝てる……みたい。
私は必死で一之瀬君が覆い被さっている体からはいつくばってようやく離れると、自分も昨晩から寝ていなかったせいで急激に眠気が襲ってくる。
視界がぐらついた瞬間、私はそのまま一之瀬君の隣床に寝そべってそのまま寝てしまった。