君色キャンバス

「――中野、俺……」

 どうしようも、ないくらい――

「いいよ、一之瀬君が好きだから」

 好きなんだ。



 まだ俺たちは幼くて、独りでは生きて行けない。

 君の側にいたら、自分が失っていたものをもう一度、手の中に返ってくるような感覚に何度もなった。


 
 中野の、手に触れて、絡めた。

 熱に一気に侵されそうになる。


 中野は少し緊張してるか、体を強張らせながらも、素肌に触れるとゆっくりと、“俺”を受け入れる。

 
 俺の背中に回された腕。

 その掻き抱く腕も震えていて、でも放さない。

 それが中野の答えなんだと、実感すると、俺はごく自然に口から


「愛してる」


 そう言った。

 中野の眼を見ると、やっぱり一点の曇りもない眼で、“俺”を見て、微笑んでいた。


 その素肌や、眼があまりにもきれいで泣きそうになる。


 

 朝の日差しを背中に感じながら、俺たちは心と体全部で、一つになる。

 
 再び重ねた唇は、このまま溶けてしまえるんじゃないかと思うほど、熱かった。




 

 * * *

 



 
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