君色キャンバス
 
 初めて、結ばれたとき……正直涙が出そうになった。

 一之瀬君の想いが痛いほど伝わってきたから。


 こんなにも想ってくれて、大切にしてくれる。


 愛しい人。



 私は体に残る余熱を感じながらも、立ち上がり、一之瀬君が描いた“私”の絵を見る。


 瞬間、光が見えた。

 眩しいくらいの、太陽の光が。


 私は脚の力が抜け、がくっと座り込むと、真っ白になった。

 
 感情なんか一切なかったのに、私の右目からは一粒の涕(なみだ)が零れ落ちた。



 …………っ!


 いちのせっ、君――!


 ずっと、こんな風に見てくれてたの?

 こんな風に感じてくれたの?


 
 絵に描かれていたのは、私の――笑顔の表情。

 背景はひだまりのように包まれて、まっすぐに包み込む笑顔があまりにも私の心を揺らす。




「私……こんなのじゃ、ないよ」


「でも、俺にはずっと中野がそう見えてたんだ」


 ばっとその声に振り返ると、背後に一之瀬君が立っていた。

 
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