君色キャンバス
「今までどこにいたんだよ?!」
「――俺の家だけど」
間髪入れずに即答すると北村は急にさっきまでの勢いが失われたように思えた。
そして嘲笑。
「なるほどな、奈津とお前はそのまま幸せになったって感じだろうな」
「証拠も無いのに、断定するな」
「……証拠? 証拠ならいくらだってある。奈津自身が証拠だから」
ぐいっと俺の胸倉を掴む。
そして壁に押し付けると、
「このままお前のこと殺してやろうか」
北村の目を見ればその言葉が嘘なんかじゃないことくらい見て取れる。
このまま神経逆なでしたら、本当に殺されてしまいそうだ。
けれど俺にとって見ればもう自分の命なんか、どうでも良い。
別に死に恐れる必要も無い。
「殺したかったら殺せよ」
簡単に出た言葉。
俺は一切の表情を崩すことなく発すると、北村は憎しみを露にし始めた。
「……はっ!
お前はいつもそうだよなあ?
すました顔で何もかもがどうでもいい。
そんな風に見えて、いつも俺の大事なもん奪ってくんだ!!」