君色キャンバス
 北村君から聞こえた“親友”の言葉。


「……奈津……」


 私の事を寂しそうな瞳で私を見つめると、そのまま微笑ってみせると、私の言葉の重さを改めて実感する。


「ごめ……」

「謝るなよ!」


 私の言葉を遮る。

 そのまま一歩私に歩み寄ると、そのまま腕を引き寄せ、抱き締められた。


 
「お前に謝られたら、俺の気持ちは救われねぇよ」



 切ないくらい胸に響く、北村君の声。

 届けば届くほど胸がきしむ。


 
 何分間か私を抱きしめた後、北村君は何かをつかんだかのように大きく笑って見せる。


「俺をふったこと、絶対後悔すんなよ!」


 ふっと口元がゆるむ。


「後悔なんか、米粒ほども後悔しませんから!」

「米粒って! ……ま、そういうとこ奈津らしいよな」


 わしゃわしゃと私の髪の毛をいじると、



「親友になったからって、チャンスがあれば、奈津を奪ってやるからな」

「ムリ。私、一之瀬君オンリーです」

「断固拒否かよ……」


 
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