君色キャンバス
真実の果て
結局俺は携帯を開けないまま、時間だけが流れて行った。
開けようと思えば思うほど、胸に突っかかるものが出来て過去を知る決意が未だにできない。
あえて自分の視界には入れないように自分が今見える範囲から離れる位置で置いているというのに変に意識して逆に気になってしまう。
進む、そう決めたはずなのにやっぱり俺はま弱い自分を知ることしかできないのが歯がゆい。
トントンとドアの外からノックする音がした。
そのノックの仕方からして、榊原さんであることは予想できた。
「はい」
ガチャッと開いたドア。
予想通り、榊原さんだった。
――ん?
でもまだ人影が見える。
「――一之瀬」
そう呼んだのは紛れもなく北村。
そして……――中野もいた。
「なんっ、で……!」
* * *