君色キャンバス
榊原さんが俺の部屋から出て行くのを見た後、俺は2人を交互に目で追った。
状況が、つかめない。
北村だけならまだ話は見えるが、中野も連れてくるとなると全く見当がつかない。
沈黙が続く中、俺は咄嗟にわざと視界に入れないようにした携帯が置いてあるのに気付き、慌てて取り、机にしまう。
「……それ、お前の?」
「あ、……ああ」
「見え透いた嘘すんな。お前の携帯はそんな色してなかっただろ?」
相変わらず鋭い。
「…………この携帯は、俺のじゃないとしたらほかに誰だと思う?」
皮肉めいて分かり切った質問の仕方。
誰のかなんてそんなの答えは一つ。
でもあえて俺は北村に答えさせる。
「一之瀬の親父だろ」
瞬間、視界が揺れた。
そのわずかな視線の中に中野の表情がゆがんだ気がした。
ああ、もう……そういうことかよ。
状況が、つかめない。
北村だけならまだ話は見えるが、中野も連れてくるとなると全く見当がつかない。
沈黙が続く中、俺は咄嗟にわざと視界に入れないようにした携帯が置いてあるのに気付き、慌てて取り、机にしまう。
「……それ、お前の?」
「あ、……ああ」
「見え透いた嘘すんな。お前の携帯はそんな色してなかっただろ?」
相変わらず鋭い。
「…………この携帯は、俺のじゃないとしたらほかに誰だと思う?」
皮肉めいて分かり切った質問の仕方。
誰のかなんてそんなの答えは一つ。
でもあえて俺は北村に答えさせる。
「一之瀬の親父だろ」
瞬間、視界が揺れた。
そのわずかな視線の中に中野の表情がゆがんだ気がした。
ああ、もう……そういうことかよ。