君色キャンバス
瞬間、何を言われたのか……現実味がない。
夢でもみているかのような錯覚に陥る。
けれど北村の鋭い眼は俺を今にも刺すかのような目でそれが真実なんだと間違いじゃないんだと教える。
「っ……じゃあ、俺と……北村は――父親違いの……兄弟ってことかよ?」
言葉にしてみるとやけになじんで聞こえて、妙に落ち着かない。
「お前の誕生日は6月17日だよな?」
「あ……ああ」
「俺の誕生日も6月17日だ。つまり……お前の母親は俺の父親とお前の父親両方の子供を身ごもった……」
「んなの……っ、出来るわけねーだろっ!」
「それがごくわずかだが、存在するんだよ。そんな稀な出来事が」
いつの間にか榊原さんがソファーに座っていた。
俺の心臓はドクドク加速していって歯止めが利かない。