君色キャンバス
 
 菜穂はそんなしんみりした雰囲気を振り払うかのように、


「……っでも! 卒業してもまた会おうね! 一週間に3回は必ず!」


「そんなに会う暇なんかないって!」


 いつものごとく澪が制し、そして由紀ちゃんも同意見といった具合にうんうんとうなずく。



 そんな横で私にうるうると菜穂の視線と私がぶつかる。



――うっ……



「でっ、でも卒業しても……また会ってくれるよね?」


「それはもちろんでしょ」

「うん。いつだってこの友情は不滅だよっ」



 即答で答えてくれる姿に何だか感情が高ぶって……



「みっ……みんなぁ……!っ」



 ダサいけど頬からは大量の涙の粒があふれ出す。



 そこからはみんなが私を励ましてくれて、そしてこの学校の自販機一番の私がおお気に入りだった“みかんジュース”をおごってくれた。




「な~~にそこシケてんの?」





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