君色キャンバス
「もおー! しっかりと私たちを包んでよっ!」

「その発言ちょっときしょい」

「澪ひどっ」



 私はなんだか笑えてきて、笑っていると、いきなり一之瀬君が私の腕を引っ張る。


 ぐいっと引き寄せられ一之瀬君が急にどアップだ。



 は、恥ずかしいっ!



 思わず目を閉じたら、キスがふってきた。



「?!」


 
 混乱する中、みんなからは大ブーイング。


 

 けれど一之瀬君は相変わらず表情を崩さないまま、



「奈津」



 不意に呼ばれた下の名前の呼び捨て。

 さらに心臓の音が……加速する。



 だって声が甘く響くから、耳がっ、むず痒い。



 私、変……?!




「俺のことも、呼んで?」


「~~……っ」


 恥ずかしいっ……この雰囲気心臓がもたない。



「いっ、一之瀬君……!」


 そう呼ぶとさぞ不満げな態度。

 だって分かってるよ、分かってる、け ど……



 
――……~~!
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