君色キャンバス

 なんだろう。

 この気持ち――

 一之瀬君が独りに見える……。

 守りたいと、思ってしまう――。



 気がつけば私は一之瀬君を抱きしめていた。

 本当は恥ずかしくて、この場から離れたいのに、一之瀬君の小刻みに震える体を感じたら放せなくなる。

 この心の中にある一之瀬君の心は何を背負っているんだろう。

 
 私には背負い切れないかもしれない。

 簡単に切り捨てられるものではないかも知れない。

 だけど……。

「私が、一之瀬君の力になれないかな……?」


 一之瀬君を信じたいんだ。


 震えが段々収まっていくのを感じる。


「お前じゃ、無理だよ」

 
 え。

 その声に一之瀬君を見る。

「お前には重すぎる」

 
 そう放った一言は、私の心に重く響く。

 一瞬で突き放された気がした。
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