君色キャンバス
そう思いながら新聞部の部室へと着く。
新聞部は5階のパソコン室。
パソコン室なんて授業以外で利用した事もないから、少し迷いそうになった。
「失礼します……」
いつものように扉を開く。
そうすると事の発端である、あの黒縁眼鏡が目立ついかにも部長っぽい面をした人が「ようこそ」と言った。
「かったりぃ~~」
――ふ、ぇ?
いきなり響いた言葉。
その言葉を放った男子の方をみると、耳にピアスをつけ、金髪で校則を軽々と破っている制服をきくずした男子が、パソコンを置いている机の上に足を乗せ、開いて悠々とくつろいでいた。
完全プライベートって感じが漂っておられるんですけど……?
その上、いきなりチッと舌打ちまでされた。
……不良さん?
呆気にとられ、言葉を失う。
「せっかく中野さんを呼んだのに、いきなりこんな奴と合わせて申し訳ないね。
実はこの北村優(きたむらゆう)君が君のこの新聞の担当に立候補したせいか、必然的に彼が担当になったんだ」
と、淡々と凄い事を言ってのけた。
……て、おいおい。
待ってくださいよ、部長さん。
こんなこんなこんないかにも不良そうな奴が担当なの?
てかてかその前にこの風貌じゃ、私の事バラしそうじゃん。
「……久し振りだな、なっちゃん」
ニヤッと笑った瞬間、私は頬が引きつる。
もしかしてこいつは……あの……。