君色キャンバス

 まさに嵐が去ったような静けさ。

 人気さえも感じられない。

 
 ふと手を見る。

 そして手をぎゅっと握ってみた。

 その手を空に突き上げる。

 
 
 きっと俺はもう後には引けない。

 振り返ることも、あの位置に戻ることも出来ない。


 引き寄せたんだ、俺が。

 
 突き上げていた手を戻し、ゆっくりと加速し、走り出す。



 いつか全てを赦せる日が来ると信じたい。

 本気でそう思ったんだ。




 * * *

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