君色キャンバス

 
 真っ白だ、何もかも。

 考えたくない、いや、私の全身が考えることを拒絶している。

 体全身がいつの間にか震えていた。

「――お前にもあるじゃんか。
 一之瀬と一緒に唯一できること」

 北村君が私の目をしっかりと見ながら話し出す。

 その目に全ての感情が吸い込まれていくような錯覚に陥った。


「……いや、お前にしか出来ないことだ」

 確信を得たような北村君の言い方に少し気が和む。

 
 でも私に何も出来ないってことくらい、はたからみれば誰だって分かる。


「私には一之瀬君と一緒に出来ることなんて何もないよ」


 北村君はそう言う私に自分のエナメルのバッグから見覚えのある1冊のノートを渡した。

「これ、お前のだよな?」

 
 淡い水色のノート。

 これは……私の――詩を書いたノート。


 確かこれは中学生のときに書いたやつ。

 必死で探したのになくなっていた。


 どうしてこのノートを北村君が持っているの?

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