君色キャンバス
「……中学校の時さ、お前の机の近くで友達と雑巾投げて遊んでたら、勢いで倒してしまってさ、その時に教科書とか散乱した時にこのノート、机に入れ忘れてた。
明日渡そうって思ってたのに、この中身の詩を読んだらなんか、返せなくなった。
ずっと俺の中に溜め込んでたものを、中野の詩が和らげてくれたから」
北村君の言葉に涙が自然と溢れた。
どうしてこんな時に北村君は私が一番欲しかった言葉をくれるんだろう。
悔しくて、儚くて、切なくて。
私の詩には私の全てが入り込んでいる。
北村君が私の体をすっと優しく引き寄せ、ゆっくり私を抱き締めた。
腕に中で私は涙が更に溢れて、止まらなくなる。
嗚咽がもれても強く抱き締める北村君。
「俺の中できっとこんな気持ちにになるのは、中野だけだ」
運命は思い切り突然不意に変わってしまう。
神様のいたずらなんて言い切れないけれど。
こんなにも暖かいのはきっと北村君のせいだ。
私の中にもう入り込まないで。
* * *