柚時雨



 相変わらず熱い俺の胸は

 冷たい雨とは真逆。


 自分では認めたくないような

 そんな気持ちではあったけれど


 なんだかもう

 認めざるを得ない気がする。



 だって、絶対に絶対に

 これは彼女に対する

 “恋”の気持ちだから。





 「……じゃあ」



 俺が彼女の動作を見ていると

 容器を回収した彼女は

 すくっと立ち、俺を見た。


 「失礼します」


 小さく頭を下げた彼女は

 サラサラの髪を耳にかけながら

 また俺を見る。


 そして、その場を去ろうと

 俺に背中を向けた。




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