柚時雨




 あの日から俺は

 ゆい子から貰ったしゃぼん玉を

 通学鞄に忍ばせている。



 あれからゆい子とは会っておらず

 何だか変な気分の俺。

 いつ会っても良いように…って

 それはおかしいと思うが。


 正直、あのしゃぼん玉を手放せない。


 それが俺の本音だ。




 もとはと言えば

 俺がゆい子のアドレスとか

 番号を聞かなかったことが悪い。


 あの時は、それどころじゃなかった。

 軽くメアドとか聞ける余裕は

 俺には全く無かった。




 後悔先に立たず。




 この言葉が、今の俺には

 イチバン心を痛める言葉だ。


 そして


 ごもっとも。




< 24 / 40 >

この作品をシェア

pagetop